製品含有化学物質の管理

製品に含まれる特定化学物質の廃除

キヤノンは、製品に含まれる化学物質に関する環境保証体制をグループ全体で構築するとともに、法律や業界の自主規制より厳しい社内基準を設け、この基準に則した製品開発に取り組んでいます。

特定化学物質の廃絶・代替

EU RoHS指令では、一部の用途を除いて、水銀、鉛、カドミウム、六価クロム、PBB、PBDEの使用が禁止されています。キヤノンは、特定化学物質を廃絶するために、1997年から製品に含有する化学物質の把握・管理に努め、必要な代替技術の開発を推進し、EU RoHS指令を含む各種規制に対応してきました。
EU RoHS指令では、必須であり代替方法のない特別な用途については除外を認めていますが、2010年には、それら除外用途が改正され、除外縮小や終了期限が設けられました。キヤノンでは、製品含有化学物質に対する法規制の動向も見据えて、部品・材料の無害化を推進しており、今回の除外用途の改正に対しても先行して対応を図りました。

  • RoHS指令
    「the Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment」の略称。使用済みの電気・電子機器を埋立、廃棄する際に、環境や人体に悪影響を与えないよう、有害化学物質6種の製品への含有を禁止するEU指令。

REACH規則への対応

2007年6月からEUにおける化学物質に関する法令が統合され、REACH規則として運用が開始されました。REACH規則は、“化学物質の登録、評価、認可、制限”に関する法律で、「人の健康や環境保護の改善」「EU化学品産業の競争力維持と技術革新の強化」「化学物質のEU域内での自由な流通」の3点を目的としています。この規則は、EU域内で製造・輸入する化学品・アーティクル(部品や成形品など)に含まれる化学物質に適用され、化学品に含まれる化学物質の登録(化学品)やアーティクルに含まれる高懸念物質(認可対象候補物質)の届出、情報提供などを義務づけています。
化学品についての登録は、製造・輸入量や有害性にもとづいて段階的に実施され、初回登録期限(2010年11月30日)については対応を完了。次回以降の登録(2013年、2018年)についても期限までに確実に対応していきます。
アーティクルについては、これまでRoHS指令などの法規制に対応するために行ってきた、製品に含まれる化学物質の調査を、2008年からはREACH規則にも対応するよう拡張し、同規則で要求された情報伝達を開始しました。
2011年2月現在、認可対象候補物質は46物質ですが、今後も定期的に追加が見込まれます。電気電子業界では、こうした拡大も視野に入れ、サプライチェーンにおける効率的な情報収集をめざし、共通ガイドライン(JOINT INDUSTRY GUIDE:JIG)の仕組みづくりを推進し、キヤノンもこの取り組みに積極的に参画しています。また、この内容を踏まえてキヤノン「グリーン調達基準書」を適宜改訂しています。今後も、JIGにあわせて、製品に含有する化学物質についての適切な管理を行っていきます。

  • REACH規則
    「The Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals」の略称。化学品および製品に含有する化学物質の登録、評価、認可、制限を義務づけたEU規則。

REACH 規則に対するキヤノンの主な対応
REACH 規則に対するキヤノンの主な対応

製品に含まれる化学物質の管理とグリーン調達

キヤノンでは、1997年から「グリーン調達基準書」を策定し、2003年からこの基準書の遵守をサプライヤーに対する取引条件としています。また、同基準書をサプライヤーに理解、徹底いただくために、各地域での説明会など、直接サプライヤーに説明する機会を設けています。
また、キヤノンはこの基準書にもとづき、「環境活動全般の仕組み・取り組み」と「納品いただく部品・材料に含まれる化学物質管理」という2つの視点から、サプライヤーの仕組みを評価しています。なお、直接の取引先である一次サプライヤーの仕組みには、サプライチェーンを通じた二次サプライヤーの仕組みを評価することも含んでいます。
さらに、2009年からは、一次サプライヤーを評価するための基準に、二次サプライヤーが三次サプライヤーの仕組みを確認する項目を設けることで、サプライチェーンの管理体制を強化しています。
また、サプライヤーの管理体制だけでなく、実際に納品いただく個々の部品・材料についても含有化学物質を調査し、サプライヤーから入手した化学物質情報をもとにキヤノンの基準を満たしているかを評価しています。
なお、キヤノンで使用を禁止していても、まだ社会的に流通している化学物質(鉛など)については、製造工程で混入する恐れがあることから、社内でも定期的に分析評価を実施しています。

サプライヤー評価の2つの視点
  • 「環境活動全般の仕組み・取り組み」の評価
    • 環境ポリシー
    • 環境法規制遵守(大気・水質管理、廃棄物管理など)
    • 工場で使用する化学物質管理 など
  • 「納品いただく部品・材料に含まれる化学物質管理」の評価
    • サプライヤーが取り扱う部品・材料の含有する化学物質の把握
    • 禁止物質混入防止への取り組み など

グリーン調達基準書
グリーン調達基準書

製品に含まれる化学物質の管理体制
製品に含まれる化学物質の管理体制

製品に含まれる化学物質管理の仕組みの統一

キヤノンは、化学物質管理の仕組みを業界で統一することが、管理精度と効率の向上につながると考え、「グリーン調達調査共通化協議会(JGPSSI)」の発足に主動的な立場で尽力しました。
JGPSSIは、含有化学物質情報の開示に関するガイドライン「ジョイント・インダストリーガイド(JIG)」を米国・欧州工業会と共同で作成しています。また、サプライヤーにおける化学物質を管理する仕組みを定めた「製品含有化学物質管理ガイドライン」を発行しています。
キヤノンは、電気電子機器メーカーの有志企業と連携して、これらガイドラインの普及活動を積極的に展開しています。また、サプライチェーン全体での管理を徹底するために、ガイドラインの内容に沿った購買管理や工程管理の仕組みなどを自社の「グリーン調達基準書」に盛り込んでいます。
今後も法規の変化をリアルタイムにとらえ、ガイドラインへの反映に協力していくとともに、ガイドラインの改訂を自社ルールに盛り込んでいきます。

JOINT INDUSTRY GUIDE
JOINT INDUSTRY GUIDE

製品環境情報の管理

製品環境情報システム

キヤノンは、商品企画から製品の開発・設計・試作、品質保証、生産、販売に至る各段階において、製品の環境特性にかかわる環境基礎情報をイントラネット上で集約し、グループ内で共有する、「製品環境情報システム」を構築しています。
このシステムでは、製品として遵守が求められる各国・地域の法規制などの情報を「法規制情報DB」に集約・管理し、「法規制(エコラベル)対応ITシステム」、および「PDM(Product Data Management)システム」によって、関係部門で共有しています。
開発・設計部門では、「3次元CADシステム」を導入し、試作によるロスを削減した開発をめざしています。デジタルデータを利用して仮想製品の組立・解体性やユーザビリティ、安全性、駆動機構などの機能を検証する支援ツールを活用するとともに、DMRや前述の「PDMシステム」から得られる製品情報を活用し、確実な遵法対応を進めています。
また、製品化のステップにおいては、商品企画、製品試作、品質保証の3段階で「製品環境アセスメント」を実施し、環境対応の評価確認を行っています。
さらに、サプライヤーの環境対応状況の情報を「取引先環境評価情報システム」に蓄積し、サプライチェーンの環境対応の管理に活用しています。
これらの「環境基礎情報」と製品・部品中の化学物質情報を管理する「製品化学物質管理システム」「製品環境仕様管理システム」の連携により、「製品」「部品材料」「包装材料」に関する環境情報をグループ内で共有しています。
キヤノンでは、これらの情報システムを活用して「製品化学物質保証体制」を構築し、WEEE指令・RoHS指令・REACH規則などへの遵法対応やグローバルなエコラベルへの対応を行っています。

  • DMR(デジタルモックアップレビュー)
    モックアップとは製品の開発・設計段階で実物大に制作される模型のこと。DMRでは、これを3Dのデジタルデータで作成し、組立・解体性、ユーザビリティ、安全性、駆動機構などの機能を検証している。

製品環境情報システム
製品環境情報システム


環境への取り組み

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