物流時のCO2削減

輸送にともなうCO2排出量削減

キヤノンは、2002年に「ロジスティクス環境対応ワーキンググループ」を設置し、以来、「部品調達」「生産拠点」「製品幹線」「顧客販売」「包装材」の各分科会のもとで、モーダルシフトや積載効率の向上、輸送距離の短縮などに継続的に取り組んできました。
その結果、2005年には、輸送にともなうCO2排出量を、売上高CO2原単位で2000年比25%削減。さらに2006年には同29%まで削減するなど、確かな成果を上げました。
こうした成果を踏まえ、ワーキンググループを中心とした活動は2008年で終了し、2009年からは、これまでに確立した削減施策を継続するとともに、新たな削減施策を検討。2010年は輸入コンテナの輸出時における再利用や物流センターの港湾地区への集約などを実施しました。
これらの結果、2010年の国内物流にともなうCO2排出量は3.3万トンで、2009年と比較して0.4万トン(約14%)の増加となりました。
その一方で、国際輸送や海外域内輸送にともなって発生するCO2排出量についても、海外を含めたグループ全体で削減に努めています。国内輸送と同様に、積載効率向上や輸送距離の短縮に努めたほか、韓国などでモーダルシフトの推進に取り組みましたが、海外市場の急回復による輸出量の増加の影響もあり、2010年のCO2排出量は91.8万トンで、2009年と比較し24.8万トン(約37%)の増加となりました。

  • モーダルシフト
    トラックや航空機による輸送を、鉄道や船舶など、より環境負荷の少ない輸送手段に切り替えること。

TOPICS

輸入コンテナの輸出時における再利用(ラウンドユース)

キヤノンでは、輸入時に使用したコンテナを空のままでなく、輸出用の製品などを載せて送り返すことで、輸送にともなうCO2排出量を削減します。
この取り組みは、1990年代からキヤノングループ内で実施していましたが、輸出入時の船会社および輸出入時の国内のコンテナ運搬会社が同じでないと再利用ができないため、実施本数は多くありませんでした。
そこで、2010年は、輸出入時の船会社および輸出入時のコンテナ運搬会社を一致するよう努めるとともに、港に返送する際の国内輸送でも再利用を推進しました。それらの結果、2010年の再利用本数は2,566本となり、前年の1,019本から大幅に増加し、CO2削減効果も157トンに達しました。
2011年は、グループ内での取り組みの拡大はもちろん、グループ外との連携も含めて再利用本数をさらに増やしていく計画です。

国内物流におけるCO2排出量の推移
国内物流におけるCO2排出量の推移

物流における環境対応活動(国内生産品の物流フローにおける例)
物流における環境対応活動(国内生産品の物流フローにおける例)

物流におけるCO2排出量の推移(グローバル) (単位:千t-CO2
  2006 2007 2008 2009 2010
国内 35 39 38 29 33
海外 72 76 89 72 84
国際輸送 航空 559 452 416 376 611
船舶 274 284 280 193 190
小計 833 736 696 569 801
合計 940 851 823 670 918

改正省エネ法における特定荷主への対応

2006年4月に施行された「エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律(改正省エネ法)」では、新たに運輸分野における対策が盛り込まれ、運輸業者だけでなく、一定規模(3,000万トンキロ以上)の荷主企業(特定荷主)にも省エネルギー対策の実行・報告が義務づけられました。
キヤノンでは、2005年にグループ横断的な対応組織として「輸送省エネ法対策分科会」を発足させ、報告に必要な実績把握のルールを確立し、ガイドラインを定めるなど、改正省エネ法遵守に向けた体制を整えました。
2010年の輸送実績を集計した結果、キヤノングループで特定荷主となったのは、キヤノン(株)、キヤノン化成の2社でした。この2社は、それぞれ所轄の経済産業局に使用エネルギーの報告書と省エネルギー計画書を提出し、改正省エネ法に対応しています。

  • 2008年までは、キヤノンプレシジョンも特定荷主に含まれていましたが、2009年にトラック輸送が大幅に減少し、特定荷主の対象外となりました。

輸送効率の向上に向けた取り組み

物流拠点の変更による輸送距離短縮

キヤノンでは、物流の効率化による環境負荷削減を図る手段として、生産拠点/物流拠点の見直しなどによる「製品輸送ルートの短縮」に取り組んでいます。
北米では、コンシューマ製品を保管・配送する物流拠点を中部の1カ所に設置していましたが、西海岸にも新たに物流拠点を設置することにより、西部地区への輸送距離を短縮しました。さらに、販売子会社を通さない販売店への直送などを進めています。
また、欧州では、東欧、北欧、中近東、南アフリカなどヘのアジア地区生産拠点からの直送を推進しています。同様にアジアでも、生産拠点から各国への直送を推進しています。
さらに、国内では地方港の活用による輸出入製品の輸送距離短縮を進めています。
これらに加え、2009年からは、インクジェットプリンターについて、アジア地区の生産拠点からラテンアメリカ地域への輸送について、一部製品の直送を開始しました。従来はマイアミ経由で輸送していましたが、ブラジルに直送することで、一度の輸送で約6,000kmの輸送距離を削減できます。
2010年には、同地域の直送先をコスタリカなどにも拡大したほか、インドネシアへの輸送など、アジア域内でも直送を開始しています。

倉庫間輸送の削減

キヤノンは、物流の効率化による環境負荷削減の一環として、倉庫間輸送の削減に取り組んでいます。具体的には、世界各地で以下のような取り組みを実施しています。

北米への輸送におけるダイバージョンの導入

キヤノンは、日本・アジアの生産拠点から、北米向けのオフィス向け製品を北米内5カ所の倉庫に送り届けています。船舶輸送では、一般的に、各輸送先への配送数量を決定してから船積みする手法がとられます。このため、輸送中に輸送先で需要変動が生じても、途中で配送量の変更がきかないため、いったん当初配送予定の倉庫に届けてから、改めて別の消費地の倉庫へと再配送しなければなりませんでした。
この再配送のムダを減らすため、キヤノンでは一部の製品輸送については、出港後、北米西海岸到着の48時間前までに各製品倉庫への最終配送数量を決定する方法(ダイバージョン)を導入。これにより、北米内での在庫偏在をなくし、再配送にともなうCO2の排出抑制を可能にしました。

欧州各国の倉庫のバーチャルウェアハウス化

欧州においては、コンシューマ向け製品の一部を対象に、受発注方式を変更しました。
これまで、日本・アジアの生産拠点から出荷する際には、欧州各国の倉庫単位で需給調整(発注時に国別に必要数量を決定し、これにもとづき出荷)していました。近年では、欧州全体を一つの倉庫とみなして需給調整(バーチャルウェアハウス化)し、出荷時に最新の在庫状況を見て初めて各国倉庫への数量振り分けを行うようにしています。これにより、欧州内での在庫偏在を削減し、ムダな倉庫間の輸送を削減できました。

物流センターの港湾地区への集約

日本では、内陸に位置する物流センターを閉鎖して、港湾地区にある物流センターに集約する取り組みを進めており、2010年6月には、船橋物流センターを閉鎖しました。輸出比率が高い製品の倉庫は、内陸よりも港に近い方が、コンテナ輸送の距離を減らすことができます。この結果、港湾へのコンテナ輸送距離を削減したことで、年間226トンのCO2が削減できました。

モーダルシフトの推進

キヤノンは、輸送にともなうCO2排出量の削減に向けて、トラックや航空機による輸送から、環境負荷が少ない船舶と鉄道を組み合わせた輸送に切り替える「モーダルシフト」を国内外で推進しています。

国内輸送におけるモーダルシフト

国内では2002年から、グループの生産拠点間の部品物流や各エリアの販売物流センターへの製品物流に船舶・鉄道を積極的に利用しています。また、リサイクルのための回収物流においても、回収拠点からリサイクル拠点までの輸送の一部で船舶・鉄道を利用しています。とくに製品物流では、物流事業者と共同で大型の専用コンテナを開発するなど、鉄道輸送の使用比率向上に注力しています。
こうした活動の結果、2005年には国土交通省が推奨する「エコレールマーク」制度の企業認定をいち早く取得。その後も引き続き認定要件を満たし、継続更新しています。
2010年は、ベトナムから輸入されるコンテナを東京港から福島キヤノンに輸送する際に、従来のトラック輸送から鉄道輸送(東京-郡山間)に切り替えるモーダルシフトを10月から実施。この成果もあって、3,538トンのCO2削減効果を上げました。今後は、鉄道輸送の積載効率を向上するため、より内寸高さが取れる新型コンテナの導入を検討します。

  • エコレールマーク
    鉄道貨物輸送を活用し、地球環境問題に積極的に取り組んでいる商品・企業であることを表示するマーク。
CO2排出量比較(航空機を100としたときのトラック、船舶、鉄道の比率)
航空機:トラック:船舶:鉄道=100:15:4:2
(日本で1トンの貨物を1km運んだ場合の一般的な目安)

モーダルシフトによるCO2削減量の推移(国内)
モーダルシフトによるCO2削減量の推移(国内)

国際間におけるモーダルシフト

欧州では、オランダにある地域統括販売会社の物流センターから各国の倉庫への製品輸送に鉄道利用を推進しています。さらに輸入製品の一部では、物流センターを経由せず、港から直接、鉄道やフィーダー船に積み替えて各国の倉庫に輸送しています。
大分から韓国への国際輸送では、従来は大分から下関港までトラック輸送した上で、韓国釜山港へ船舶で輸送し、同港から仁川倉庫まで再びトラック輸送していました。2010年9月からは、この経路の陸上輸送をトラックから鉄道輸送に切り替えるとともに、輸出する港を博多港に変更することで、輸送距離を短縮しました。
この結果、輸送にともなうCO2排出量をトラック1台分の積載量(約30m3)当たり286kg削減できました。

日本―韓国間のモーダルシフト
日本―韓国間のモーダルシフト


環境への取り組み

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